A 上司が同期っていうのは、男性同士ならひと悶着ありそうだけど。
はな 私は気にならないけど、上司は私が女性だから良いみたい。それはそれでどうかと思うけど、男同士だったらこうはいかないんでしょうね。同期の人を「あいつは俺の部下にしたくない」と、はっきり言いますもんね。やっぱりそういうのはあるみたいです。私は上司が同期でも全然気にならないし、むしろ気楽でいい。
ANJ 上司との関係というなら、私は今、ちょっぴり反省していることがあって、こじれたとかそういうことではなくって、今の部下を見ていて私もこうだったんじゃないかなぁと。
今は、私と直属の部下一人。パートの女性ですが、もともと社員で勤めていていたのを育児のために一度辞め、その後パートで復職した人。そんな彼女からは、「私はしかたがないから会社を辞めたのよ、でももう一回復職してがんばっているの」っていう思いというか、プライドを毎日ひしひしと感じるんです。でもね、彼女の必死さを見ていて思ったんだけど、もしかしたら、いや多分、私もこれまでの上司から見ると同じだったんじゃないかな、と。
私は新卒で入社してから、会社を変わらずに、産休で8週間休んだ以外はずっと働いてきました。でもその間に男性はどんどん出世していきます。だから、私の上司はほとんど年下でした。きっとやりにくいだろうなと思って、上司の言うことをハイハイと素直に聞いてきたつもりだったんですけども、おそらく年も上で、キャリアも上の女性を使っているやりにくさがあったんだろうなと思います。
私も頭ではわかっているつもりで、気をつかっているつもりだったんだけど、実際にこのタイプの部下と一緒に働いて、まるで自分を見ているようで。今までの上司に申し訳なかったなと思います。
D 年齢的なことで思うのだけど、このへんのいわゆる40代後半までの女性でずっと働いてきた人って、先の男性のプライドとは違うプライドがあるような気がする。今まで長年やってきた自負みたいなものが。もちろん私たちもなんだけど。それがわかっているから、相手が女性の場合、そこを傷つけないように、機嫌を損ねないように、無意識に気を遣いますね。男性にはそこは甘えられるんだけど、女性にはできない。「あっ、言っちゃった」は通じない気がする。
はな 女性の方がもめると怖そうな気はする(笑)
ANJ 上司ということで話すとしたら、とても良かった上司がいます。その人は本当に一から部下を育ててくれた。
大抵の上司とは、「これやっておいて」だけ。指示命令だけでしたけど、その上司は仕事の考え方を伝えたあとは任せてくれ、仕事をしながら教育してくれた。あるべき上司の姿を間近に見せてもらいました。
離れてもう長くなりますが、いまだにどうしたらいいか迷ったときに、あの上司だったらこう判断する、こう行動するだろうか、とか考えます。自分の部下を育て、守り、組織力を上げていくというのが組織の長の仕事・役割と考え、実践している人でした。私の中ではパーフェクトな上司です。
D 上司ともめることは、最近ないのかなぁ。
しろ 私はフリーで翻訳の仕事をしているから、今は仕事での人間関係のストレスはぜんぜんありません。組織に所属していた、組織人だった13年前を考えてみてもあまりなかったですね。
というのも外資系の企業でしたから、上司との関係も日本の会社とはちょっと違ったんだと思います。指揮・命令系統ははっきりしていて、上司の言うことは絶対なんですけど、ふだんの人間関係はものすごくフレンドリーというか、何が何でも立てなきゃいけない人ではなかった。だから、その辺の苦労はしていないです。
ただ、処世術というか、自分ができるようになってとても楽になったことがあります。
とっても簡単なんですよ。上司を「棒読み」で褒めるんです。上司のことをあからさまに。「○○さんってすごいですね。やっぱりさすがですね」って。
C でもぜんぜん心は入ってない?
しろ そう。でもそれは向こうもわかっていて、「しろさんはいつも褒めてくれるけど、ほんま口先だけやなぁ」とか言ってくれて、「いえ、私本当に心から褒めてますよ」と言ったりして。
このやりとりがお決まりの会話になっていて、だけど男性は棒読みでも何でも褒められると嬉しいらしいんです。こっちも、こびているとか立てているとかいう気持ちもまったく持たずに済むし、また周りからもゴマをすっていると思われることもなく褒めることができる。たったそれだけで、お互いの関係が何となくやわらかくなります。
言葉を届けることが目的なのね。棒読みだったら自分がいらいらしていても、いくらでも言えた。上司との関係をより良くするには使える方法です。
D これは他の人間関係にも使えそうな手ですね。
それにしても、上司の悪口があまり出てこないということは、私たちと上司との関係も変わってきているのですかね。
A 確かに。昔はあくまでも上下の関係だったから、こっちはいつも下の位置で、無責任に上司のあら探しをできたんだけど、今は自分も相手も成長し立場も変わった。横の関係に限りなく近いから、楽になったというのはありますね。少なくとも、頭ごなしに腹が立つことはなくなった気がする。
B 20年以上も働いていたら、仕事上しょっちゅうお伺いを立てなきゃいけないような上司がいる位置に、すでに私たちがいてないんですよ。
それともあっちが怖がってて、声もかけなくなってるとか(笑)
座談会参加者
ANJ(51歳、会社員) しろ(48歳、フリーランス) はな(46歳、会社員) アーク(29歳、会社員)
連載作成メンバー
A(45歳、会社員) B(51歳、会社員) C(36歳、専門職)
D(48歳、フリーランス)