「働く女性と“男”」
Vol.2 仕事編1
第6号2010-07-25
「いま・未来」会議のメンバーによる、働く女性と“男”をテーマとした座談会は、仕事編から。
仕事の場での関係の築き方を、働いてきた年数が20年前後というメンバーを中心にスタートしていきます・・・
*座談会の参加者&連載作成メンバー(A〜D)のプロフィルは文末に掲載しています。
私たちが失敗してきたこと。プライドはつぶなさい
A 最初は、仕事の中での“男”との関係の築き方を話してもらえればと思います。まずは参考として私の例を話しますね。
仕事は、会社が経営する飲食店の課長。だから立場としては、パートナーとなるのは部下、つまり店長で、私が束ねているのは8人いますが全員男性です。その中で今、関わりが深いのは、最近店長になった28歳の男性です。
彼はお店をまわすことはできるけれど、長としての経験がないので、リーダーシップやスタッフのまとめ方、ビジョンの示し方などを教えています。年下で扱いやすいといえば扱いやすいのだけれど、それでも「男のプライドをつぶさないこと」に気を付けています。
B 例えばどんなふうに。
A 確かに失敗が多いのだけど、できないことや失敗したことをすぐに指摘しない。先に気づいていても知らんふりして、本人が気づくまで待つ。立場上は、すぐ指摘して行動を変えさせなくてはいけないのだけど、少し時間を置いて、本人があかんかったことに気づいてから、「ほんならどうしょう?違う方法でやってみる?」ともっていく。私にさせられているのじゃなくて、あくまでも横からちょっとアドバイスしている形にするの。
私も20代のころには女性にありがちな正論を武器に、ずいぶん男性のプライドをつぶしてきた。でもいろんな人と一緒に仕事をしてきて、さすがに最近は、男の沽券にかかわることは言うたらあかん、ということがわかってきた。一番気をつけているのはそこですね。
はな 私、昔それをやってしまって、トラブルになったことがある。相手は工場の課長で、私がこの部署に移ってすぐのころだから、もう10年前のことだけど。一カ月くらい口をきいてもらえなかった。
アーク えー!それで仕事ができるんですか。
はな そう思うでしょう。でもホント、一切相手をしてくれなかったんだよね。
うちはメーカーで、私の仕事は製品を売る営業。製品を作っている工場と切っても切れないのだけれど、最初は人間関係がうまく作れなくて失敗した。
どうも私がその課長に、電話で生意気なことを言ったみたいなんだよね。その後、工場への出張もなく、電話でのやりとりだけだったのがよけいややこしくしたみたいで、どうやってこの関係を修復したらいいんだろう、とずいぶん悩みました。
まわりの人がかなり取りなしてくれたけど、一向に改善できない。これはもう私から謝るしかないと思って電話したんです。
「先日は、生意気なことを言って本当に申し訳ありませんでした」と、思ってもいないことを言って。でもこちらがそういう態度に出たら、向こうも少し胸襟を開いてくれて「わかったよ」みたいなことを言ってくれた。
ずいぶん経ってから工場に出張することがあったので、その課長にも会いに行けたんですが、まだ怖い顔をしたまんま。恐る恐る話しかけたら、「おまえなぁ」とか、軽い冗談を言ってくれて、やっとほっとした。
実はその人は、シャイな性格らしく、人間との付き合い方がとても下手な人だったようで、いつも怖い顔をしている人だったの。「おまえはできてない」とかきついことを言うんだけど、それは一応受け入れてくれている、というサイン。本当に怒っているときは、何も言わずムッとしてる。「彼はいつもああなんだから」と、他の人から聞いていなかったら、もっと右往左往してたかも、です。
アーク 工場、技術系ではそういう人多いですよね。うちもメーカーなので、わかります。
はな 女性って何でも杓子定規にきちんとしたいでしょ。私も本来はそういう性格の上に、大阪人の癖なのか、せっかちに物事を進めてしまう。だけど、地方の工場の人にそれは通用しない。このことをきっかけに気をつけるようになりました。
今は、何を言われても気にしないようにしていますね。きついことを言われても、「すいませんねぇ」なんて言ってさらっと流す。わざとヘラヘラして、自分がなるべくバカになろうってことを学びました。
B こういう失敗って若い頃に一度はやってるよね。「私の方が正しいのに、何でわかんないの?」と追いつめていく。それが男にはひっかかるんだろうなぁ。
見習いたいのは、組織人としての動き
D ANJさんのような大きな流通業の会社だと、仕事でかかわってきたパートナーは多いと思うのですが、やっぱり男性が多かったですか。
ANJ うちの会社は現場を含めると女性が多くなるのですが、スタッフ部門の男女比は8対2で圧倒的に男性が多いです。そのためほとんどが男性。入社したころからずっと上司は男性ですし、周りには男性が多かったので、男性に合わせていくのが当たり前で、仕事とはそういうものだと思っていました。
むしろ女性と仕事をするときの方が、違和感を感じますね。
C 女性だから気を遣うということですか。
ANJ というか、正直女性の方がやりにくい(笑)。
以前、あるプロジェクトのリーダーを任されたことがあったのですが、メンバーは女性ばかり7人。これが男だったら少しは違っていたかな、と思ったことが何度もありました。
おそらく男の方が単純なんです。やってと指示したらとりあえずやりますし、いつまでに仕上げてって言ったらまちがいなく仕上げてくると思います。でも女の人は、理論や考え方が先に出る。「概念が・・・」とか「計画が・・・」とか意見は言うのだけれど、全体をみて気を使っているのか、なかなか自分は動かない。これが男だったら何も言わずにやるのではないかと。。リーダーが言っ ていることに満足していなければ、自分はこう思うというものを形にしてきて、これでどうですかって持ってくるのではないかと思うのです。それならそれですぐに動き出せるのだけど、女性はそれよりも先に考え方がでるので、まとまりにくいし進みにくいような気がしました。
今の仕事もそう。日付とか、賞味期限はちゃんと表示できているかを見るのですが、人がやることなので絶対はなく、ミスはあるんです。それをいちいち指摘していきながらエラーの数を減らしていく仕事なのですが、完璧を求めるので、皆は絶対に納得していない。「間違うこともあるんじゃないか」と思っているんだろうと感じる。でも守らせるのが私の仕事だから、ガンガンきつく言います。きっと腹も立つでしょう。でも、組織がやるといったら、男性は「わかりました」とやるんです。「この会議で決まりました、来週からやってください」といわれたら否応なく実行するじゃないですか。お腹の中はどう思っていても。そこは本当にやりやすいですよね。
でもこのことも、自分が会社の中で男性たちと仕事をしながら知りました。
あるとき男性の上司に言われたんです。身の回りの整理整頓の話だったんですが、「自分の机の中さえ整理できない人に注意されても説得力がないでしょうね」と言ったら、「そんなこと言ってたら何にもできないよ」、と。女性にありがちなのは、自分もできていないことを人に指示できないって思っちゃうところがあるんだけど、その一言で、「何だ、仕事ってそういうものなんだ」と思えた。
男性のそういうシンプルなところを、私たちも学ぶべきなのかな、と思います。
A 男性の単純さや変わり身の早さって、私たち女性は身につけるのが苦手ですよね。私も先輩の男性に「長いものには巻かれろ」を教えてもらったんですね。
これって、本当に女性は下手。女性は正しいか悪いかで物事を判断するでしょう?それを放っておけなくてまちがいを指摘したり、改善を求めたりする。でも結果は、けんかになったり丸く収まらなかったりしてよけい組織を混乱させる。
でも、その先輩はそこが上手で、「まぁ、無理なこともあるって」とさっさと諦めたり、「今のはなかったことにしよう」と言って、置いているうちに解消してしまうという手を使うの。最初は、その煮え切らなさに腹が立っていたんだけど、実はこれも大切で、それがないと組織がうまくまわらない。何でも白黒つければいいってもんじゃないんだよね。
ANJ 男性は組織の中で生きてきて、入社してからずっとそうして育ってきていますよね。でも女性は組織とは少し違うところでやってきている感じがする。だから、なかなかそこがつかめない。男性たちは早くからそのことになじんで組織人としてがんがん成長しています。それは私たちも学ぶところかなと思う。
でも逆に、彼らは組織を離れたらどうするんだろう。定年退職したあともやっていけるのかしら。
C その頃には男性が女性を見習えばいいんじゃないかな、って思いますね。
座談会参加者
ANJ(51歳、会社員)しろ(48歳、フリーランス) はな(46歳、会社員)
アーク(29歳、会社員)
連載作成メンバー
A(45歳、会社員) B(51歳、会社員) C(36歳、専門職)
D(48歳、フリーランス)