第5号 2009-10-25
職場や家庭以外にも、実はさまざまな顔を持つ働く女性たち。第3回目はボランティア活動(無報酬)に携わるメンバーをご紹介しましょう。
ボランティアって何?
一般に「ボランティア」を辞書的な意味で説明すれば、「無報酬で自発的に奉仕活動を行うこと」。もともとは志願兵を指すことばだったそう。自由意思に基づく無償の奉仕活動で、福祉や災害支援の現場で多く見られます。特に日本では阪神大震災をきっかけに、災害ボランティアが活発化。これをきっかけに阪神大震災が発生した1月17日を「防災とボランティアの日」としたり、災害対策基本法にボランティアということばが明記されるなど、災害ボランティアへの注目が集まるようになりました。
もちろん、それ以前から積極的にボランティア活動に参加している人は多く、環境や自然を対象にしたもの、国際交流、お年寄りや障がい者の介助・サービスなど多岐にわたる分野でボランティアが活躍しています。選挙活動もボランティアで支えられているものです。
さて、多士済々の「いま・未来」会議の面々。ボランティア活動に参加している人も多く、今回のアンケートで何らかのボランティア活動に携わっていると答えた人は約37%でした。その内容も多彩です。
「公園の緑化活動ボランティア」(スルメ・会社員・49歳」
「ロータリークラブ」(ふらん・会社員・54歳)
「PTA安全ボランティア」(sacci・電機メーカー事務職・41歳)
「女性防衛モニター」(N・フリーライター・49歳)
仕事の人脈づくりのために参加したロータリークラブでボランティア活動をするようになったふらんさん、子どもをとりまく地域での安全問題やそれに関する情報を耳にし、活動に参加するようになったsacciさんなど参加するようになったきっかけもさまざま。以前から国防に関心の高かったNさんは、自衛隊大阪地方協力本部のホームページで女性防衛モニターを知り応募、戦車試乗やヘリコプター体験搭乗など自衛隊の活動を体験してレポートを提出しています。こうした身近なところに始まり、国政や世界を視野に入れたボランティア活動に参加している人もいます。
「女性議員を増やすNGOでの活動。政党や主張を問わず女性の国会議員を紹介するウェブサイトの運営や、『女性を選ぼう』というパンフレット作成など」(クロム・企業の人事担当・46歳)
「国際NGOの理事、NPO法人の幹事、ソーシャルイノベーションネットワークの世話人」(A子・経営者・48歳)
「スイス・ジュネーブの国連で、パレスチナ問題の会議に出席しました。国内では子ども(小学生)向けのエイズ問題や、児童ポルノ廃止の活動へ積極的に参加しています」(フューチャー・貿易業・41歳)
クロムさんは働き続けるために必要な情報を探しているときに出会ったネットワークや団体の活動について、「自分がお世話になったから、できることはしよう」と参加しているうちに深みにはまって…と振り返ります。フューチャーさんは、貿易業という関係上、中東からの輸入を多く取り扱っており、現地の女性と知り合うことが多く、自然に関心を持って国際会議に参加したとか。
自分のできる範囲で
でも、仕事はもちろん、毎日の家事や地域活動などさまざまな顔を持つ「いま・未来」会議のメンバーのなかにはボランティア活動に割く時間がないという人もいます。それでも、自分なりの方法を見つけてボランティアに参加している人はいます。
「折々の募金活動は積極的に行っているつもり」(きんぎょ・パートタイマー・53歳)
「ペットボトルのふた集め。クレジットカードのポイント交換での寄付。フェアトレードのイベントなどの手伝い(不定期)」(やっちゃん・営業事務職・36歳)
学生時代から知的障害児たちとの遊び、阪神大震災の支援活動などのボランティア活動に積極的に取り組んできたやっちゃんさんは、多忙な現在、時間やお金がなくても何かできることはないかと考え、こうした活動に取り組んでいます。
「H15年からフォスタープランに参加」(wawa・自営業・38歳)
wawaさんが参加するフォスタープランとは、寄付金を元に開発途上国の子どもたちの支援を行う財団法人。彼女は以前からフォスタープランに関心があり、お姉さんと二人で始めました。二人なら、月々の寄付金もそれほど負担にならないと考えたからだそう。
キャリアを活かすボランティア
ボランティアというと、報酬を伴わない奉仕活動ゆえ、本来の仕事とは無関係に存在しているようにも感じられますが、積み上げたキャリアを活かすボランティア活動に参加している人もいます。
例えば、「昨年まで10年ほど、大阪ボランティア協会でボランティアのニュース編集委員をしていました」というきりんさん(会社員・40歳)は、文筆関係のプロで、その仕事を生かしたボランティアを行っていました。いまはほかの人材が出てきたのでちょっと休憩中だとか。
「NPOフェミニストカウンセリング学会・堺でのパワーハラスメント研究会、DV電話相談など」(ほどほど・団体役員・68歳)
ほどほどさんは定年前の仕事の延長として活動しているもの。長年の職業経験を定年後も埋もれさせず、生かすことができるのもボランティア活動ならではです。
働く女性のキャリア支援セミナーを仲間3人と開催するひまわりちゃんさん(キャリアコンサルタント、講師・55歳)は、やはりその職業を生かした活動です。さらに、当初自主企画で発信しようと考えていましたが、公的機関を巻き込んだ方が広く告知できると考え、大阪市の男女共同参画支援事業に応募、審査に合格したそう。今年度3回のセミナーを開催することになっています。
建築設計・監理を本業とするmegさん(49歳)は、兵庫県建築士会や日本建築家協会の活動として、一般の人に建築家の活動を身近に知ってもらうためのセミナー企画や相談会の開催などに携わっています。こうしてみると、本業を生かしたボランティアの多さに気づかされます。
なぜ彼女はボランティアに向かうのか
労働環境が厳しく、多忙な人も多い「いま・未来」会議のメンバーですが、なぜ彼女たちは積極的にボランティアに参加するのでしょうか。
「消えゆく街の“銭湯”を応援するファンのネットワークに加わり、7月に2回のイベント企画、運営を終えました。今後もイベントだけでなく、いろいろな切り口で銭湯啓もうをしていく予定」(けろりん・研修講師、司会&アナウンス業・46歳)
彼女の場合、最初はさほど関心があったわけではありませんが、友人に誘いを受け参加したあとはどっぷり浸かっている状況。その理由として「仕事と違って利害関係の生じない気楽なところがよい」といいます。でも「いい加減に活動しているわけでなく、そこでの活動が自分の力を試すことになったり、自身のスキルなどを求められたりすることで刺激を受けています」と、ボランティア活動が自分自身の成長につながると分析します。
fmisaさん(会社員・41歳)は視覚障がい者コーチ育成プロジェクトの「アリスプロジェクト」でコーチングトレーニングなどを行ったり、NPOファミリーツリーで「家庭力」をテーマにしたワークショップ開催などのボランティアに参加しています。ちなみに「家庭力」とは、本来家族が持っている子どもと親がお互いに人として信じ合い、与えあい、学びあう場としての力とのことだそうです。
「なぜボランティアに参加するのか」という質問に対しfmisaさんは、「ボランティアとは、自分ができることをできる範囲で、しかも自分が心地よいと思うやり方で人のお役に立てる上に、人としての成長や能力の向上など、目に見えない報酬が得られる、とてもお得なもの」と、ステキな答えを聞かせてくれました。
また、日本野鳥の会U50のメンバーであり、大阪の支部会でサブリーダーを務めているぷぅさん(会社員・44歳)はよこの会では副会長という大役を担っています。
「仕事の具体的なノウハウから考え方、姿勢、働き方、人とのつながり、ネットワークの価値、そして生き方まで多大な影響を受けています。この会に入っていなければいまも仕事を続けているとは限らなかったでしょう」と言います。
そう、ボランティアはただ与えるだけのものではありません。誰かの役に立ち、喜ばれながら、実は自分自身をも成長させてくれるもの。毎月の例会運営からニュースの発行、ホームページの制作まで、すべての運営が会員のボランティアで成り立つ、この「よこの会」が25年間成長しながら存続できた理由も、そこにあるといえるでしょう。
今回の「いま・未来」会議のメンバー
・年齢;28歳〜77歳(20代4%、30代18%、40代62%、50代11%、60代以上5%)
・雇用形態;正社員45%、フリーランス22%、経営者18%、公務員5%、団体職員1%、パート・アルバイト2%、派遣社員2%、そのほか4%