「女性は働きやすくなった?」
Vol.2 働くことに対する意識
第4号 2008-10-29
「この25年で女性は働きやすくなった?」をテーマにしたシリーズの第2回目をお届けします。
今回のトピックは、
「働くことに対する意識」です。「どう働く?」「何のために働く?」という、シンプルながら、働く女性なら誰もが一度は立ち止まり考えこんだことがある質問です。
一般の女性よりも多く、メンバーの転職経験は約4割まず、転職経験の有無を聞いてみました。終身雇用がもはや過去の話になりつつある昨今、転職は取り立てて珍しいことでもないという感があります。ここで一般的な転職動向を見るために総務省「労働力調査年報」より年齢層別転職率をみてみましょう。結果を見てどんな印象を持つでしょうか?

(総務省・労働力調査年報より)
意外と低いなと感じた人が多いのではないでしょうか。
女性全体の転職率は、7%を下回っています。
雇用が流動化してきているとは言われているものの、転職をキャリアアップのチャンスととらえるアメリカと比べれば、日本の労働移動率は依然低い数字です。
一方、メンバーに目を転じてみると、転職率は38.9%となり、一般的な転職率よりかなり高い数値となっています。
回答内容からは、転職経験が一回だけなのか複数回なのかは判別できないのですが、とにかく転職という人生の一つの岐路に立った経験者が多いことは確かです。
転職の中身で見てみると、転職経験組中の65%が企業から企業への転職で、それ以外は組織を離れて起業して経営者となった人、フリーランスとして独立した人がほぼ同数、少数ですがキャリアチェンジの準備として専門学校などに通学中という人もいます。
転職の動機は、開業・独立。一方で、キャリアアップは・・・転職の動機で一番多かったのが、独立開業やフリーランスになったからというものです。
「組織からはみ出てしまったが、顧客がいるため自立した」(49歳・自営・2年)や、「不景気で社内に不安定さが感じられ辞めることにした。自身の身につけたスキルを持って、フリーランスとなった」(46歳・フリーライラー・23年)に代表されるように、組織に合わないので独立を決心したパターンと、自分のスキルを活かす道を求めてというパターン大別されました。
次の動機として働く場所や環境を変えたかったというのが挙がります。この場合の場所や環境という言葉は、仕事内容ではなく人間関係や残業時間などを指しています。「結婚して数年後、どちらも残業が多く、そのためによくけんかもしたため、仕事か家庭かでかなり悩みましたが、そろそろ子供も欲しかったこともあり、残業の少ない職に転職しました」(既婚・その他属性なし)
「新しい仕事を始めることで自分の能力を広げるため」(34歳・会社員・8年)のように新しい仕事にチャレンジしたいという気持ちで転職をした人もいます。
その他は端的に収入アップを転職の目的とした人もいます。ただこれは単純に給料がたくさん欲しいという漠然とした思いからではなく、「給料が少なすぎて生活できなかった」(37歳・自営・10年)という切実なものばかりです。
体調を崩す、病気になるなど健康面の理由から職を離れた人も少なくありません。
リストラなどの会社都合、夫の転勤により退職せざるをえなかったなど自発的な転職ではない場合もあります。
一般的に転職する際の企業面接の場で、転職動機を聞かれると多くの人が、当たり障りなくキャリアアップと答えるようですが、今回のアンケートではその言葉は見当たりませんでした。メンバーのホンネの転職動機が聞けたということだと思います。
なぜホンネの転職動機が大切かいうと、一見意外に聞こえるかもしれませんが、実際に企業面接で企業側が期待しているのも、実はホンネの答えなのです。転職で面接される人のほとんどが答える、優等生的な内容が本当の理由ではないことを企業側は見抜いています。まして10年前と比べて転職に対する一般的なイメージも随分と変わりました。転職はもはや後ろめたいことではありません。その人らしさが出る、その人なりの答えをするほうが、相手に対して人柄や仕事への思いがよく伝わります。
転職という現象は一つでも、そこに至るストーリーは二つとして同じものはありません。
働く理由の第一は経済的自立。加えて成長、社会との関わり、喜び。「なぜ働くか」という問いに対して、当然のことながらほとんどの人が「生活のため」「収入を得るため」「自分の食い扶持を稼ぐ」という経済的な理由を挙げています。
半数以上の人は収入以外の複合的な要因にも触れています。そして、その複合的な要因にはいくつかのキーワードが含まれています。
まず、一つ目が成長です。「働くことを通して人間的な成長や出会いを得て、自分が活性化されるのを感じるため」(43歳・会社員・21年)、「自分を成長させ磨いていくため」(48歳・フリーライター・25年)、「自分の人生の可能性を広げ、心豊かに生きていくため」(43歳・公務員・20年)など自己の成長や更なる可能性を働くことに求めています。
二つ目が社会。社会とのかかわりも働くことの要因です。「社会とつながっているため」(41歳・会社役員・20年)、「社会的に様々な経験をするため」(38歳・会社員・16年)、「世の役に立つため」(46歳・フリーライター・23年)
そして三つ目が喜び。「おもしろさ。喜びが感じられる」(47歳・建築設計管理・25年)、「何かに役に立っているという喜びを感じたいため」(67歳・団体非常勤理事・40年)
四つ目には、責任という言葉に注目しました。「責任を全うするため」(43歳・会社員・20年)、自分自身に責任を持って、自分の足でしっかりと立って生きていくため」(43歳・公務員・20年)
キーワードからは離れますが、「個人ではできないことを、会社のお金と仕事仲間のパワーを使って成し遂げる」(42歳・会社員)という力強く働く姿が垣間見られる回答もありました。
一方で、何のために働いてきたかを考えるとき、その理由が変化したり、苦悩したりする姿も見てとれます。
「若い頃は楽しいから働いているという要素が強かった。今は生活するために働いているという要素が強い。生活するために働くにしては、今の労働環境は厳しすぎる」(44歳・海外営業・22年)
「何を求めて働いてきたんだろう。育児と家事、自分自身の幸福感、そういったものと仕事のバランスが崩れるとき、いつも自分に問いかけます」(公務員)
働くことは、私たちの人生を物心両面から支える重要な要素であることは間違いありません。しかし働くことが、時に喜びややりがいをもたらし、時に苦しみやプレッシャーをもたらします。
「なぜ働くのか?」という問いは、働き続ける限り浮かんだり消えたりする自分自身のテーマなのでしょう。