Vol.1

「女性の政治参画、現状をどう思う?」

Vol.1 

第2号 2007-09-28

自民党の大敗で終わった7月の参議院選挙。政界を揺るがす「政治とカネ」の問題。そして、誰もが驚いた安倍首相の突然の辞任。「亥年」は政治が荒れるといいますが、まさにそのジンクスどおりの年となっています。そんな激動期に合わせ、今回の「いま・未来」会議は、「政治」をテーマに取り上げてみることにしました。そもそも私たちの暮らしは、そのときどきの政治によるところが大きいと思います。政治家は法律をつくり、政策を決め、国の将来の方向を見定めていくわけですから。しかし、欧米などの各国と比べると、日本の女性の政治参画はかなり遅れていると言わざるを得ません。国会議員に占める女性の割合は、わずか1割。スウェーデンの47%、ノルウェーの38%などに比べると非常に低率です。職業として「政治家」を選ぶ女性が少ない現状は、働く女性の集まりであるよこの会としても一度考えてみる価値がありそうです。

というわけで、まずは、「いま・未来」会議のメンバーにあまり堅苦しくない質問を投げかけ、「女性と政治」を考える第一歩にしてみたいと思います。

《あなたにとって、好感が持てる女性政治家、好感が持てない女性政治家は?(国内外問わず)》

挙がった名前は数多く、回答は分散しました。「特にいない」「ほとんど政治家を知らない」という回答もありましたが、1人で何人もの名前を挙げたメンバーもいました。

「好感が持てる女性政治家」で最も多かったのは、田中真紀子・衆院議員(6票)。言わずと知れた、故田中角栄・元首相の娘です。ただ、田中議員は「好感が持てない政治家」の2位(3票)にも挙がっており、良くも悪くも注目を集める政治家といえます。

「賛否両論はあると思いますが、建前より本音を聞かせてくれる彼女が好きです」
(アンジー・52歳・事務員)


「居るだけでパンチがある。外交政治をもっと見たい」
(ナナぽん・42歳・事務職)


「日本の女性の政治家の中で、帝王学を学んだ上で、その使い方を心得ているのはこの人だけ」
(くろ・45歳・企業のダイバーシティ推進)


彼女の豪快さ、存在感、「言いたいことを言う」度胸を評価している声が多いようです。一方で、「好感が持てない」とした人の理由は…というと。

「発言や行動が見苦しい。美しくない」
(fmisa・39歳・事務職)


「政治家の娘と主婦を都合よく使い分けているだけ。政治家なのに『組織』を使いこなせない」
(ふくろう・47歳・文筆業)


「“親の七光り”を武器に発言しているように見える。元首相の娘にしては品のなさを感じる」
(あみー・47歳・事務職)


ある人が評価する「豪快さ」は、別の人には「見苦しい」と映り、「元首相の娘」という立場についても賛否両論の見方があることが分かります。

ただ、こんな意見もありました。
「好感を持たないと判断する情報について問題がある。日本の女性政治家の報道のされ方や評判は、男性型マスコミのバイアスがかかっているような気がしてならない」
(ぬらりひょん・45歳・フリーライター)

ぬらりひょんさんは、田中議員を「多くの世襲政治家の中でも最も注目を浴びる存在」とし、目立たざるを得ない女性政治家に「その環境の中で、大いに頑張れ」と書いています。

「好感が持てる政治家」で2位(各5票)に挙がった3人は、いずれも外国の政治家でした。日本に魅力的な女性政治家がいないのか、私たちが日本の政治家を知らなさすぎるのか、あるいは外国の女性政治家がパワフルなのか。3人は、アメリカのゴンドリーザ・ライス国務長官、ヒラリー・ロダム・クリントン上院議員、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相です。

ライス国務長官に対しては
「努力家、賢そう。黒人女性としてあのレベルまで行くのは、相当の苦労があっただろうが、それをウリにしていない」
(にのえ・46歳・マスコミ)


クリントン上院議員に対しては
「実は男なんか『へ』とも思ってないところが好き」
(こりん・52歳・企画)


「『働く女性』としてキャリアを重ね、自分の専門を持っている。チームを動かしていく統率力がある」
(ふくろう・47歳・文筆業)


サッチャー元首相に対しては
「イギリスの経済を立て直し、フォークランド紛争にもいち早く行動を起こした人。好感を持つというより『すごい!』と思う」
(マリー・55歳・小売業)


それぞれの政治手腕を評価する声が目立ちます。ただ、ライス長官とクリントン議員については、「好感が持てない」とする人(各1票)もおり、やはり有名政治家に対しては賛否両論があります。サッチャー元首相は「好感が持てない」とした人は1人もおらず、これぞ「鉄の女」として一国を引っ張った政治家の底力というところでしょうか。

続いて、「好感が持てる女性政治家」の3番手に挙がったのは、土井たか子・元衆院議長(元社民党党首)。さすがに関西を地盤とする政治家だけあって、

「勤務していたファッションブランドの洋服を何度か土井さんが着用してくださったのがきっかけで直接話す機会があり、自分自身のことには無欲で素朴なところに好感を持った」
(まりりん・42歳・会社員)


「あまり大物のいない大学の大先輩であるというひいき的発想。護憲という信念を持ち、訴え続けている頑固さ」
(まゆみ・42歳・外食サービス)


など、ほかの政治家に比べて「身近な」理由が目立ちます。

また、「好感が持てる」とまではいかなくても、
「社会党時代に頑張っていた『おたかさん』に注目していた時期もあった」
(けろけろ・44歳・フリーアナウンサー)

という意見もありました。与党であれ、野党であれ、こういう「大御所」の女性政治家が少なくなってしまったのは、寂しい気もします。

そのほか、「好感が持てる女性政治家」として名前が挙がったのは、太田房江・大阪府知事、野田聖子・衆院議員、辻元清美・衆院議員、マデレーン・オルブライト元国務長官(米)、フランスの大統領候補だったセゴレーヌ・ロワイヤル議員が各2票。
猪口邦子・衆院議員、高市早苗・衆院議員、福島瑞穂・社民党党首、田嶋陽子・元参院議員、嘉田由紀子・滋賀県知事、アウン・サン・スー・チー国民民主連盟総書記(ミャンマー)、アンゲラ・メルケル・ドイツ首相、神功皇后が各1票。

海外の政治家では、大国に目がいきがちですが、アイルランドの元大統領、メアリー・ロビンソンさん(在任期間1990―1997年)を挙げた人もいました。
「ソマリア内戦、ルワンダ虐殺などの際、逃げ腰の国家代表が多い中で、人命救助、人権擁護の立場をはっきりと国連で表明した」
(エビムラ・44歳・教職員)

という意見です。ちなみに、アイルランドは、ロビンソンさんの次の現大統領も女性(メアリー・マッカリースさん)です。

さて、「好感が持てない政治家」で、最も多かったのは、高市早苗・衆院議員でした。多いと言っても4票ですが、個性の強い田中真紀子・衆院議員、小池百合子・元防衛大臣(各3票)より多いというのは、ちょっと意外な感じもします。その理由を見ると

「当選するためには手段を選ばず、という姿勢に映るところ。好戦的で平和に遠い感じがするところ。(小池百合子議員も同じ理由で好感が持てない)」
(まゆみ・42歳・外食サービス)


「評論家的なけだるい物言いが、鼻につく。どこかで聞いたような内容に個性が感じられない」
(ナナぽん・42歳・事務職)


といった意見が挙がっています。高市議員と同じく、メディアでの注目度が高い小池百合子・元防衛大臣にも、

「この前の(防衛大臣)辞任は、逃げにしか思えない」
(ふにゃらん・49歳・会社員)


「保身に走りがちで、それがみえみえであるところが嫌」
(やっこ・42歳・マスコミ)


といった厳しい意見がありました。不祥事の発覚や進退問題など、政治家として大きな壁にぶつかったときの対応は、有権者の印象を大きく左右するもの。小池元大臣は、防衛省を去るとき、「I shall return」と言っていましたが、彼女が再び閣僚として戻ってくることはあるでしょうか?

「好感が持てない政治家」で、上位3人の次に名前が出たのは、福島瑞穂・民主党党首、郵政解散選挙で当選した片山さつき・衆院議員、7月の参院選で当選した元アナウンサーの丸川珠代・参院議員でした(各2票)。

福島党首には、
「理念を唱えるのはいいが、現実性があまりに無く、政治家の範疇と思えなくなってきた」
(すず・40歳・会社経営)

と、政治家としての手腕に厳しい意見。

片山議員には「謙虚じゃない」「重たいヘアスタイル。見た目の印象が悪い」、丸川議員には「この3年間、投票に行っていないということが報道されたときは『なんじゃそらー』って感じでした」
と、さまざまな理由で厳しい視線が向けられています。

「好感が持てない女性政治家」は、「好感が持てる女性政治家」としても名前が挙がった人がほとんどで、メディアに露出する機会の多い有名な政治家が中心です。国内外とも、閣僚経験者や国政の議員が中心で、地方の政治家は太田房江・大阪府知事、嘉田由紀子・滋賀県知事だけでした。私たちは、意外に足元の「地方政治」には関心が薄いのかもしれませんし、地方には目立つ女性政治家が少ないという現実もあるかもしれません。

一方で、
「女性に限らず、議員になるような人にろくな人はいないと思うので、好感を持てない人ばかり。嫌われるぐらい面の皮が厚い人とか変人じゃなきゃ、自分の信念はつらぬけないのでは?」
(みーあきゃっと・38歳・マスコミ)


「女性政治家は、ほとんどみんな好感が持てない。理由は『弱い』」
(こりん・52歳・企画)


と、政治家そのものに、どこか不信感を抱いている意見も寄せられました。

「好きな政治家を判断するほど、それぞれの政策や思想や人格を把握していない。芸能人や作家なら○○さんが好きとか言えるのに、なぜ言えないんだろう。政治の動きは大体つかんでいるつもりだが、いざそれぞれの政治家となると結構、情報って少なくないですか?」
(すなお・34歳・人事)

という意見は、市民と政治の距離の遠さを指摘する声ともいえます。

次回は、日本の女性の政治参画の状況を、「いま・未来」会議のメンバーがどう見ているかをお伝えしたいと思います。女性議員は増えた方がいいと思っているのか。「女性候補」に女性は投票するのか。そんな意識を、メンバーの意見から探りたいと思います。

<次回に続く>